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経営はこうすればうまくいく、「できる社長は、『これ』しかやらない」

成功する経営者の考え方には共通するパターンがある


「できる社長は、『これ』しかやらない」は、成功する経営者の考え方が身に付く本です。

著者の小宮一慶氏は、失敗している会社経営にはさまざまな理由があるが、成功している会社にはワンパターンしかない、と冒頭で述べています。

会社で鍵を握っているのは社長ですが、実は多くの経営者が、その「成功パターン」を知らないために経営につまずいている、といわれます。

本書は、小宮氏の長年に渡る経営コンサルタントの観点から、会社経営の原理と原則を徹底的に考え抜き、「社長が本来やるべきことは何なのか?」を突き詰めていく経営本です。

今回は、「できる社長は、『これ』しかやらない」を要約してまとめました。

それでは、本書の内容について見ていきましょう。

社長が社長の役割を理解して、それに徹すると経営はうまくいく


「はじめに」の章で、優れた経営者は「社長は、社長にしかできないことがある」と分かっている、と著者の小宮氏はいいます。

「やるべきこと」と「やらないこと」の判断に長けていること、これが優れた経営者の資質だと述べます。

現代の経営マネジメントの基礎を築いたピーター・ドラッカーは、「優先順位の決定よりも難しいのは『劣後順位』、なすべきでないことの決定だ」と言いました。

会社の経営において、「これだけは社長がやらなければいけないこと」と「社長がやらなくてもいい仕事」というものがあり、そのことを混同してしまっている経営者が実に多いと著者は指摘します。

とくに中小・零細企業の経営者は、現場の仕事もこなしながら、ひとりで何役もこなさなくてはなりません。

そのため、日々の仕事に埋没してしまって、社長が本来「やるべきこと」が後回しになりがちな状況があると言います。

「できる社長」と「ダメな社長」を分けている差は何なのか?


「できる社長」というのは、「社長にしかできないこと」に注力し、「社長がやる必要のないこと」はきちんと現場の部下に任せることができる。これがいい経営者の条件のひとつだといいます。

「できる社長」と「ダメな社長」を分けている差は何なのか、という点について、著者はこのように言及しています。

 私はそのとき、一倉定先生のこの言葉を思い出しました。

「ダメな会社というのは、社長が部長の仕事をし、部長が課長の仕事をし、課長は係長の仕事をし、係長は平社員の仕事をしている。平社員は何をしているかというと、会社の将来を憂いている」

  社長が自らのやるべき仕事をせずに、現場に細かく介入してしまうと、本来ならそれぞれの裁量で決め、報告だけ上げればいいようなことが、思うように進められません。すると、その下の部長たちも自分で考えなくなり、忖度ばかりするようになります。実際に現場で仕事をする社員の立場からすると、将来が嘆かわしくなるわけです。

 つまり、社長が社長の仕事をしていないと、部下も立場に応じた仕事ができません。だからこそ社長は、社長の仕事=「経営」を行わなければいけないのです。

「できる社長は『これ』しかやらない 伸びる会社をつくる『リーダーの条件』」小宮一慶著 PHP研究所 kindle版

社長がやるべきことは3つだけ、「方向づけ」「資源の最適配分」「人を動かす」


著者の小宮氏が考える「社長がやるべきこと(社長にしかできないこと)」はシンプルに3つしかないと言います。

①方向づけ
②資源の最適配分
③人を動かす

「方向づけ」とは、会社で「やること」と「やらないこと」を判断し、線引きすること


会社で「取り組むべきこと」と「取り組まなくてもいいこと」を決定することは、社長にしかできないことで、とくに「やらなくていいこと」を決めるのが重要だと本書のなかで述べられています。

「優先順位よりも劣後順位の方が決めにくい」ということは、先ほどのピーター・ドラッカーの言葉を引用したとおりです。

通常の優先順位の決め方だと、「やるべきこと」の順位付けになりがちですが、それよりも重要なことは「やること」と「やらないこと」の線引きをきっちり決めておくことです。

仕事に使える時間は限られていて、何でもかんでも「やること」の理想を盛り込もうとすると、「絵に描いた餅」になってしまう。

そこで一年の経営計画を立てるようなときには、せいぜい三つくらいの重点項目に絞ってやる「重点主義」で十分なのだと著者は述べます。

いくら計画を立てても、人間なので完璧な判断ができることはありえない。それよりも、決断を早く下して、早く動くことでトライ&エラーを繰り返し、判断の精度を上げていける。

できる社長はみんな「せっかち」で、「動きながら考える」ことをベースにしているといいます。

部下は上司の決定が遅いと、たとえやる気があっても動くことができないので、判断を留保することは社内に停滞を生み出します。

ダメな社長の例が本書では三つ挙げられていて、それが「穴熊社長」と「評論家社長」と「アイデア社長」だといいます。

ここでは、例として挙げられた「穴熊社長」について、見ていきます。

社長室にこもってばかりで、独断で決めてしまう「穴熊社長」


「穴熊社長」は、社長室にこもってばかりいる社長のことで、現場や顧客の声、社会のこと知ろうとせずに何でも独断で決めたがる社長のことを指しています。

経営のヒントは、社長室にはなく、その外にあると著者の小宮氏は述べます。

何かを決断する時には、まずは社内外の意見を聞いて回り、その上で社長が決断することが必要だといいます。

周囲に意見を尋ねたり、お互いに意見を出し合ったりして知恵を集めることを「衆知を集める」、といいます。

そうやって「衆知」を集めたうえでの判断は、「独断」にはなりません。

しかし、普段から「おれの意見は絶対だ」という風に振る舞っている社長の下には「衆知」は集まりません。

本書では松下幸之助さんの『道をひらく』という本のなかから、「衆知をあつめる」ことについてこのように引用しています。

「相手がどんな人であろうと、こちらに謙虚な気持ちがあるならば、思わぬ知恵が与えられる。つまり一人の知恵が二人の知恵になるのである。二人が三人、三人が四人。多ければ多いほどいい。衆知を集めるとは、こんな姿をいうのである」

「できる社長は『これ』しかやらない 伸びる会社をつくる『リーダーの条件』」小宮一慶著 PHP研究所 kindle版

こうした意見が社長の下に集まってくるようにするためには、社員が役職に関係なく意見を言える企業風土がなくてはならない、と著者は述べます。

そのためには常日頃から、社長の考え方や振る舞い方が重要になってくるのだと言います。

謙虚な姿勢を失わないことは、単なる名目ではなくて、巡り巡って経営にも影響を与えるものだから、おろそかにしてはいけないということです。

「資源の最適配分」は、会社の「ヒト」「モノ」「カネ」を最大限に活かすこと


社長の二つ目の仕事は「資源の最適配分」です。

会社の資源とは主に「ヒト」「モノ」「カネ」の三つです。

これらをうまく活かすためには、社長はまず「ヒト」や「モノ」のいい面に着目しなくてはならないと言います。

いいリーダーというのは「長所」に目を向け、ダメなリーダーは「短所」をなくそうとすると言います。

たとえば、営業の得意な社員が、いつも報告書の書き方にミスがあるという場合があったとします。

このときに「なぜこんなこともできないのか」と叱るのではなくて、書類作成が得意なひとをサポートに付けるようにすると、その短所をカバーすることができます。これが、伸びる組織の考え方だといいます。

会社の組織は個人戦ではなく、チーム戦なので、そうやってお互いの長所で短所を補っていけばいいのだと著者の小宮氏は述べています。

コストを削減しつつ、お客様の満足度を落とさない、バリューエンジニアリングという考え方


「モノ」や「カネ」の部分では、「バリューエンジニアリング(VE)」という手法が紹介されています。

たとえば、会社の資源を守るために、商品やサービスのコストカットを考える場合があります。

しかし、何でもかんでもコスト削減といって、商品やサービスの質まで落ちてしまったら、お客さまは満足しません。

結果的にお客さまの足が遠のいて、すぐに経営状態の悪化を招いてしまいます。

ここで重要なのは、お客さまの満足度を下げないまま、コスト削減を行うことです。

コストカットは「非付加価値活動」から行うのが原則


企業の活動には「付加価値活動」と「非付加価値活動」の二つがあります。

付加価値活動とは主にお客様の満足度に直接かかわる業務を指します。具体的には提供する製品やサービス、品質管理、営業活動などです。

非付加価値活動とは、お客様の満足度に直接関わりのない業務を指し、総務や経理、社内のミーティングなどが含まれます。

コスト削減はまず「非付加価値活動」から行うのが基本で、たとえば経理の仕事を外注したり、3時間のミーティングを半分の1時間半にするだけでも「90分×会議の首席人数」分の時間が浮きます。

京セラの創業者である稲盛和夫氏はJALを再建する際に、路線から軍手一つまで本当に必要かどうか検討した、と言います。

「付加価値活動」のコストカットは、お客様の満足度を下げずに、向上するように


「付加価値活動」のコストカットを行う際には、「バリューエンジニアリング(VE)」という手法を用いることを著者は勧めています。

これは提供する商品やサービスの品質向上、コスト削減により、お客様から見た価値や満足度を最大化するというものです。

たとえば、かつて国際線のビジネスクラスでは夜行便でも、一律に食事が提供されていました。近年では希望者のみに食事を提供する形に変わってきています。

こうした食事の提供がないことで、却って落ち着いて眠れる、機内での仕事に集中できるというお客様もいるので、結果的に配食のコストを下げながら、お客様の満足度向上に貢献しています。

このようにお客様の満足度を下げないまま、コスト削減ができる「VE」の考え方を持つことが重要だと述べています。

この会社で働きたい、この人に付いていきたいと思わせることで「人を動かす」


社長の三つ目の仕事は「人を動かす」ことです。

いい会社の条件として、働いているひとたちが幸せであることが挙げられます。社長といえども、社員なくして経営は成り立ちません。

会社が働く人に与えられる幸せは二つある、と著者の小宮氏は言います。

ひとつは、「働く幸せ(働きがい)」。もうひとつは、「経済的幸せ(給与など)」です。 企業にはどちらも必要ですが、まず先に「働く幸せ」がなければならない、と言います。

「働く幸せ」なくして、人は動かない


お金の幸せが先に来るような会社は、「金の切れ目が縁の切れ目」になってしまい、殺伐とした雰囲気で、「働く幸せ」はないがしろにされています。

一方、会社の仕事に「働きがい」を感じていれば、社員はいい仕事をしようとするので、結果的にサービスや商品の質もよくなり、そのことによって企業も潤う。

この「働きがい」は、働いている個人の主観ではないのかと言われがちですが、実は、社風や企業のカルチャーによって左右されるものだと著者は指摘しています。

そして「働き甲斐」のある社風を作っていくのは社長自身の考えや行動によるところが大きい。

「お金の幸せ」でひとが動くのではなく、社員が自ら働きたいと思える会社、このひとに付いていきたいと思うことでひとは動くのだ、ということが本書のなかで述べられています。

まとめ 経営の心構えが社長の視点で分かる本


「できる社長は、『これ』しかやらない」は、経営哲学の考え方がぎゅっと濃縮して作られている本です。

社長として経営を行う上で、このように考えておくとうまくいく、という心構えが隅々まで網羅されています。

今回の記事では、重要と思われる箇所を本書より抜粋しましたが、具体的な方法論を詳しく知りたいという方は、本書を手に取ってみてください。

また経営に悩んでいる経営者だけでなく、会社で働くサラリーマンが、社長と自らの役割を理解する上でも役立つ本です。

(了)

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